電話で聞いたときは好条件だったのに、書面で見るとだいぶ違う。そんなオファーは少なくないんです。雇用主はサインのときに、賃金と労働条件を書面で示さなければなりません。だからこそ、確認すべきなのは書面のほうです。このガイドでは、韓国の労働契約書(근로계약서)にサインする前に、どの条項・手数料・約束を疑うべきかを紹介します。
E-2ビザのハグォン(학원)講師の方は、先に学院の契約書の危険信号を読んでください。このガイドは、それ以外のオフィス・工場・サービス業で働く、E-7、E-9、F系ビザなどの方向けです。
まずオファーと契約書を照らし合わせる
サインの前に、給与・労働時間・職種の3つを1行ずつ比べましょう。電話やチャットで聞いた内容は、すべて書面に載っている必要があります。
勤労基準法(근로기준법)第17条により、雇用主は契約時に次のことを明示しなければなりません。
- 賃金
- 所定労働時間
- 休日
- 年次有給休暇
- 大統領令で定めるその他の条件(勤務場所や仕事の内容など)
雇用主は、賃金の構成項目、計算方法、支払い方法を記した書面も渡す必要があります。ちなみに、電子文書でも構いません。あとでこれらが変わったときも、雇用主は改めて明示しなければなりません。違反した場合の罰金は500万ウォン以下です(第114条)。
ほかにも、次の2つのルールが役に立ちます。
- 事実と違う条件。 明示された条件が事実と違うときは、損害賠償を請求でき、すぐに契約を解除できます(第19条)。この理由で解除し、就職のために引っ越していた場合、従業員5人以上の雇用主は帰郷の旅費を負担しなければなりません。
- 国籍。 雇用主は、国籍を理由に労働条件で不利に扱ってはいけません(第6条)。
特に確認したいのは2点ですね。ビザ申請で提出する契約書の給与が、電話で合意した給与と同じかどうか。そして、辞めるときに会社の費用を返すという条項が、勝手に追加されていないかどうかです。オファーと書面にズレがあったら、そこで立ち止まって、修正版を書面でもらうよう求めましょう。
E-7のオファーを年収の下限額と照らす
法務部は、E-7のサブタイプごとに年収の下限額を定めています。2026年の金額は、2026年2月1日から12月31日まで適用されます(告示2025-406)。
| E-7サブタイプ | 2026年の最低年収 |
|---|---|
| E-7-1(専門職) | ₩31,120,000 |
| E-7-2(準専門職) | ₩25,890,000 |
| E-7-3(一般技能職) | ₩25,890,000 |
| E-7-4(熟練技能職) | ₩26,000,000 |
職種コードによっては、法務部長官がその職種向けに定めた別の基準が使われます。自分のコードはE-7職種コードで確認し、詳しいルールはE-7ビザのガイドを読んでください。この金額が使えるのは2026年12月31日までなので、2027年に参考にする場合は、新しい告示が出ていないか確認しましょう。
自分のコードの下限額を下回るオファーでは、ビザは取れないんです。ほかの仕事を辞める前に、修正したオファーをもらっておきましょう。
お金がかかる条項
次の条項のうち、いくつかは明確に禁止されています。
| 条項 | 法律の定め | 罰則 |
|---|---|---|
| 辞めたとき・契約を破ったときの違約金や損害賠償額(위약금) | 禁止。第20条。 | 500万ウォン以下の罰金 |
| 雇用主が貸付金や前借金を賃金から差し引く | 禁止。第21条。 | 500万ウォン以下の罰金 |
| 強制貯蓄、または雇用主による貯蓄の管理 | 禁止。第22条。 | 2年以下の懲役または2,000万ウォン以下の罰金 |
| 最低賃金を下回る賃金 | 低い金額は無効で、最低賃金が適用されます。 | 3年以下の懲役または2,000万ウォン以下の罰金 |
ほかにも、確認したい点があります。
- 天引き。 雇用主は、賃金を全額、本人に直接、通貨で、毎月1回以上決まった日に支払わなければなりません。天引きできるのは、法律か労使協定で認められた場合だけです(第43条)。支払いのたびに、書面の給与明細(임금명세서)も必要です。韓国の給与明細の読み方も見ておきましょう。
- 最低賃金。 2026年の最低賃金は時給1万320ウォンで、月209時間なら月額215万6,880ウォンです。外国人労働者の最低賃金も参考にしてください。試用期間中の減額が認められるのは、限られた場合だけです。契約期間が1年以上で、試用の最初の3か月間、最低賃金の10%減までとなります。長官が定める単純労務職は対象外です。
- 包括賃金制(포괄임금제)。 残業代を「含む」として、一括の金額だけを示す契約があります。2026年4月に雇用労働部が出したのは、法律ではなくガイダンスです。それによると、雇用主は賃金台帳と給与明細に、基本給と各手当を別々に載せなければなりません。また、合意した金額が実際に働いた時間の法定賃金より少ない場合は、雇用主がその差額を支払う必要があります。従業員5人以上の職場では、残業・夜間・休日の労働に50%以上の割増賃金がつきます(第56条)。
- 研修費・採用費の返還。 違約金を決める条項は、第20条で禁止されています。返還の約束については、裁判所がケースごとに判断してきました。「費用の返還」と呼ばれているからといって、合法だと思い込まないでください。削除を求めましょう。
- 退職と最終賃金。 辞めるとき、雇用主は賃金などの未払い分をすべて14日以内に支払う必要があります。別の期日で合意した場合は除きます(第36条)。
- フリーランスという呼び方。 会社がフリーランスと呼んでいても、実際には従業員のように働いているなら、その呼び方で立場は決まりません。実際の働き方で判断されます。フリーランス3.3%還付ガイドを見てください。
仕事をもらうための手数料
労働者を募集する人は、その募集について、どんな名目でも、応募者から金銭その他の利益を受け取ってはいけません。罰則は5年以下の懲役または5,000万ウォン以下の罰金です(職業安定法(직업안정법)第32条)。
登録された有料職業紹介事業は例外です。受け取れるのは、雇用労働部が定めた手数料だけです。登録せずにこの事業を営んだ場合も、同じ罰則です。虚偽の求人広告や、うその労働条件も禁止されています。
E-9の雇用許可制(고용허가제、EPS)で応募する場合、政府が指定した機関以外で、EPSの契約代行やEPS関連の業務でお金を受け取る人は、法律違反です。
ここで覚えておきたいことは、次のとおりです。
- 誰が誰にお金を払うのかを聞き、答えを書面でもらいましょう。
- 仕事を確保するための保証金は払わないでください。
- 紹介所に大きな金額を求められたら、払う前に1350か1577-0071に確認しましょう。
手数料にまつわる詐欺の例は、E-8季節労働者の詐欺対策にあります。
書類とビザ
パスポートとARCは手元に置きましょう。 就職契約や債務の担保として、パスポートや外国人登録証(외국인등록증、ARC)を預かることは犯罪です。それを要求したり、あっせんしたりすることも同じです。罰則は3年以下の懲役または3,000万ウォン以下の罰金です(出入国管理法(출입국관리법)第33条の3)。外国人はパスポートまたはARCの携帯も義務なので、「安全のために預かるよ」という申し出は受け入れられません。
ビザによって、働ける場所は限られます。 勤務先の変更や追加には、法務部長官の事前許可が必要です。一部の熟練職ビザの保持者には、15日以内の届け出で済む限定的な例外があります(出入国管理法第21条)。また、雇用主やブローカーは、その許可のない外国人を雇ったり、あっせんしたりできません。次のような言葉は危険信号です。
- 「とりあえず始めて。ビザの手続きはあとでやるから」
- 「関連会社でも働いてもらうよ」
韓国の就労ビザでの転職も読んでおきましょう。
E-9の労働者には、追加の保護があります。
- 雇用主は、政府の標準契約書(표준근로계약서)を使わなければなりません。使わなかった場合は、500万ウォン以下の過怠金です(外国人労働者の雇用等に関する法律(외국인근로자의 고용 등에 관한 법률)第9条・第32条)。
- 雇用主が宿舎を提供する場合は、サインの前に、その構造・設備、場所、居住環境、面積など、設置と運営に関する事項を伝える必要があります。これらが変わったときも、改めて伝えなければなりません。
- 入国前に合意した賃金などの条件に雇用主が違反した場合、雇用主の雇用許可(고용허가)が取り消されることがあります。その場合、労働者は別の職場への変更を申請できます。
- 労働条件の違反や不当な待遇があれば、職場の変更を申請できます。
標準契約書の様式はeps.go.krに載っています。全体像は韓国のE-9労働者の権利を読んでください。
社会保険。 国民年金の適用事業所で働く18歳以上60歳未満の外国人は、一部の例外を除き、韓国人と同じ基準で事業所加入者になります。4大保険(4대 보험)のうち、どれにいつ加入させてもらえるのか、雇用主に聞いておきましょう。
サイン前のチェックリスト
契約書を手元に置いて、この一覧を順に確認してください。
- 契約書が紙か電子文書で、コピーを受け取っています。
- 理解できる言語で読めるか、翻訳してもらっています。
- 給与・労働時間・休日・年次有給休暇が契約書に書かれています。
- 給与がオファーと一致していて、通貨も、税引き前か手取りかの基準も同じです。
- 給与が最低賃金以上で、E-7なら自分のコードの下限額以上です。
- 残業代のルールが、一括の金額にまとめられず、書面に書かれています。
- 辞めるときの違約金、強制貯蓄、前借金の天引きがありません。
- 雇用主が仕事の見返りにお金を求めておらず、紹介料が契約書に隠れてもいません。
- パスポートやARCを預けるよう言った人がいません。
- 契約書に書かれた雇用主と職場が、ビザの内容と一致しています。
- 住居の条件(ある場合)が書面になっています。費用、天引き、退去時の扱いなどです。
- 雇用主が保険に加入させてくれることと、その開始日がわかっています。
雇用主が直してくれない項目があれば、その理由を書面でもらいましょう。
すでに起きてしまったら
- 記録を残す。 オファーのメッセージ、契約書、給与明細、銀行の振込記録、雇用主とのチャットを保存しておきましょう。
- 電話で相談する。 雇用労働部のコールセンターは1350です(通話は有料)。外国人労働者相談センター(외국인력상담센터)の1577-0071では、多くの言語で電話相談ができます。
- 無料のAI相談を使う。 雇用労働部が、数十の言語に対応したAI労働法相談をai.moel.go.krで運営しています。
- 申告する。 賃金の未払いなどの違反は、地方雇用労働官署(지방고용노동관서)に申告します。自分の職場の担当事務所と申告の方法は、1350か1577-0071で聞けます。
- 賃金の未払い。 雇用主が払えない、または払わないときの次の手順は、韓国の賃金債権保障基金を読んでください。
決める前にオファーを比べる
Seoulstartの求人一覧(/jobs)では、仕事ごとにビザの種類と韓国語レベルがわかります。受ける前に、似た職種のオファーと比べてみましょう。